自分では「こうしたい」と思っていたはずなのに、
誰かの意見を聞いた途端、自信がなくなってしまう。
そんなことはありませんか。
例えば、
- やってみたいことを話したら、「やめた方がいい」と言われて不安になる
- 自分なりに考えて決めたのに、家族に反対されると間違っている気がする
- 相手が残念そうな顔をすると、自分の選択を変えた方がよい気がする
人の意見を聞いた後、
「私の考えは、間違っていたのかもしれない」
「あの人がそう言うなら、やめた方がいいのかな」
「やっぱり私には、自分で決める力がないのかもしれない」
と感じることもあるかもしれません。
けれども、人の意見に心が揺れるのは、
自分軸がないからとは限りません。
人の考えを受け止め、
自分にはなかった視点を取り入れられることは、
大切な力でもあります。
問題になるのは、揺れたことそのものではありません。
人の意見を聞いた瞬間に、
自分の気持ちや考えが見えなくなり、
相手の意見だけが正解に見えてしまうことです。
この記事では、自分軸とはどのようなものなのか、
そして、人の意見に揺れた時に
自分へ戻るための方法を考えていきます。
自分軸とは、誰の意見にも揺れないことではない
「自分軸を持つ」と聞くと、
自分の考えをしっかり持つこと
周りに流されないこと
一度決めたことを変えないこと
というイメージを持つかもしれません。
しかし、自分軸を持っている人も、
人の言葉に迷ったり、不安になったりします。
自分にはなかった考えを聞けば、
「その見方もあるかもしれない」と
考え直すこともあります。
それは、自分軸がないということではありません。
むしろ、自分とは違う考えを受け取り、
必要であれば自分の選択を見直せることは、
柔軟さの一つです。
自分軸とは、何を言われても動かない
固い一本の棒のようなものではありません。
人の意見を聞く。
心が揺れる。
自分の気持ちや大切にしたいことを確かめる。
そのうえで、自分の納得できる答えを選ぶ。
このように、揺れた後で自分へ戻るための
心のよりどころが、自分軸なのです。
なぜ、人の意見が自分の答えより強くなるのか
人の意見を聞いた時、
自分の考えが急に頼りなく感じられることがあります。
そこには、その人なりの理由があります。
例えば、
- 自分で選んで失敗するのが怖い
- 間違った選択をしたくない
- 相手を失望させたくない
- 否定されたり、嫌われたりしたくない
- 自分より相手の方が正しいと思ってしまう
- 周囲の期待に応えることで認められてきた
- 誰かの言うとおりにした方が安心できる
という気持ちがあるかもしれません。
特に、これまで自分の意見を伝えた時に
否定された経験がある人は、
「自分の考えより、相手の考えを選んだ方が安全」
と感じやすくなります。
また、家族や周囲の期待に応えることで
関係を守ってきた人にとっては、
「相手と違う選択をすること」
が、単なる意見の違いではなく、
関係を悪くすることのように感じられる場合もあります。
人の意見に影響されやすい自分を見つけても、
「私は自分がない」
「また人に流されてしまった」
と責める必要はありません。
それは、これまで失敗や否定を避け、
人との関係を守るために身につけた反応かもしれないからです。
まずは、
「私は、相手の意見を聞いて不安になっているんだね」
「間違えるのが怖くて、自分の考えに自信が持てなくなったんだね」
と、自分の中で起きていることに気づくことが、
自分へ戻る始まりになります。
人の意見を聞くことと、人に決めてもらうことは違う
人の意見を聞くことは、悪いことではありません。
自分だけでは気づけなかった問題や、
新しい選択肢を知るきっかけになることもあります。
例えば、転職を考えている時に、
「その会社は勤務時間が長いらしいよ」
という情報を教えてもらったとします。
その情報を受け取り、
「勤務時間は、自分にとっても大切な条件だから確認しよう」
と考えることは、人の意見を参考にした選択です。
一方で、
「その人がやめた方がいいと言うなら、
私もやめなければいけない」
と思うと、自分が何を大切にしたいのかを
確かめないまま、相手に答えを預けることになります。
違いは、人の意見を聞いたかどうかではありません。
その意見を一つの材料として受け取ったのか。
それとも、その人の言葉を自分の答えにしたのか。
という違いです。
人の意見は、選択を考えるための材料にはなります。
しかし、最終的にどの選択をするのかを決めるのは、
その人生を生きる自分自身です。
人の意見に揺れた時、自分へ戻る5つのステップ

人の意見を聞いて不安になった時は、
すぐにどちらが正しいかを決める必要はありません。
まずは、相手の言葉と自分の気持ちを整理しながら、
少しずつ自分へ戻っていきます。
1.すぐに結論を変えず、揺れている自分に気づく
誰かの意見を聞いて不安になると、
「やっぱりやめよう」
「相手の言うとおりにしよう」
と、すぐに結論を変えたくなることがあります。
そんな時は、答えを出す前に少し立ち止まります。
「今、私はこの言葉を聞いて不安になっている」
「反対されたことで、自信がなくなっている」
「相手の表情を見て、間違っている気がしている」
と、自分の状態を観察してみます。
ここでは、相手と自分のどちらが正しいかを
決める必要はありません。
まず、
「私は今、揺れている」
と気づくことが大切です。
揺れている時には、不安を早くなくしたくて、
相手の意見をそのまま受け入れたくなることがあります。
しかし、すぐに結論を出さずに立ち止まることで、
いつもの反応とは違う選択肢が見えやすくなります。
2.相手の意見と、自分の反応を分ける
次に、相手が言ったことと、
その言葉を聞いて自分の中に起きたことを分けます。
例えば、
相手の意見:その仕事は安定しないから、やめた方がいい
自分の反応:失敗して後悔するのが怖くなった
あるいは、
相手の意見:もっと子どものために我慢した方がいい
自分の反応:自分の希望を優先するのは、わがままな気がした
というように整理します。
相手の意見と、
自分の中に生まれた不安や罪悪感は、
同じものではありません。
相手の言葉が正しいから不安になったとは限らず、
自分の中にあった怖さが刺激された可能性もあります。
相手は、何と言ったのだろう。
私は、その言葉を聞いて何を感じたのだろう。
この二つを分けると、
相手の言葉だけにのみ込まれにくくなります。
3.その意見を聞く前の自分を思い出す
人の意見を聞くと、
それまで自分が考えていたことが
見えなくなることがあります。
そんな時は、その言葉を聞く前の自分に戻ります。
「その意見を聞く前、私はどうしたいと思っていた?」
「何に惹かれて、この選択を考えた?」
「どのような未来を望んでいた?」
「何を大切にしたくて、そう決めた?」
と問いかけてみます。
例えば、
「仕事は変えたいと思っていた」
「今の働き方では、心と体がつらかった」
「収入だけではなく、自分らしく働けることも大切にしたかった」
という気持ちが見えてくるかもしれません。
人の意見を聞く前に感じていたことが、
必ず正解というわけではありません。
それでも、自分が最初に何を感じ、
何を望んでいたのかを思い出すことは、
相手の意見と自分の考えを同じ場所に置いて
考えるために必要です。
4.今回の選択で大切にしたいことを確かめる
自分の本音を確認した後は、
「私は、今回の選択で何を大切にしたいのだろう」
と考えます。
例えば、
- 安心して生活できること
- 心や体の健康
- 家族との関係
- 経済的な安定
- 自由に使える時間
- 新しいことに挑戦すること
- 自分らしくいられること
- 人の役に立つこと
- 納得して選ぶこと
などがあります。
大切にしたいものは、一つとは限りません。
挑戦したいけれど、生活の安心も大切。
自分の希望を尊重したいけれど、家族との関係も大切。
というように、複数の思いがあることも自然です。
どれか一つだけを正解にするのではなく、
今の自分が大切にしたいものを確認しながら、
「できるだけ両方を大切にするには、
どのような方法があるだろう」
と考えてみます。
例えば、すぐに仕事を辞めるか、
今の仕事を我慢して続けるかだけではなく、
- 情報を集めてから決める
- 転職活動だけ始めてみる
- 働き方を相談する
- 期限を決めて様子を見る
- 必要な資格や準備を確認する
という選択肢もあります。
自分軸で選ぶとは、
いつも思い切った決断をすることではありません。
自分が大切にしたいことを知り、
今の自分が納得できる一歩を選ぶことです。
5.人の意見も材料にして、自分で選び直す
最後に、相手の意見の中に
取り入れたいものがあるかを考えます。
「相手は、何を心配しているのだろう」
「事実として確認した方がよいことはあるだろうか」
「この意見の中で、参考にしたい部分はあるだろうか」
「それを踏まえて、私はどうしたいだろう」
と問いかけます。
相手の意見をすべて否定する必要も、
すべて受け入れる必要もありません。
参考にする部分と、
自分には当てはまらない部分を分けてもよいのです。
人の意見を聞いた後、
最初と同じ答えを選ぶこともあります。
反対に、相手の話を聞いたことで、
考えを変えることもあります。
どちらが自分軸のある選択で、
どちらが流された選択というわけではありません。
大切なのは、
相手に言われたから変えたのではなく、
自分でもう一度考え、納得して選び直した
という感覚があることです。
すぐに自分の答えが出なくても大丈夫
人の意見を聞いた後、
何が本当の自分の気持ちなのか
分からなくなることもあります。
相手の考えにも納得できる部分があり、
自分の希望も手放したくない時は、
すぐに答えが出ないことも自然です。
そんな時は、
「今は決めない」
「一度持ち帰って考える」
「明日、もう一度自分の気持ちを確認する」
という選択をしても構いません。
誰かに答えを求められた時も、
「少し考えてから返事をします」
「今すぐには決められないので、一度持ち帰ります」
「意見を聞かせてくれてありがとう。自分でも考えてみます」
と伝えることができます。
すぐに答えを出さないことは、
優柔不断なのではありません。
揺れている自分を落ち着かせ、
自分の気持ちも含めて考えるための時間です。
不安や焦りが強い時には、
一度、安心できる状態へ戻ることも大切です。
深く息を吐く。
少し歩く。
温かい飲み物を飲む。
紙に気持ちを書き出す。
信頼できる人に、答えを決めてもらうのではなく、
自分の気持ちを整理するために話を聞いてもらう。
心が少し落ち着いてから問い直すと、
自分が本当に心配していることや、
大切にしたいことが見えやすくなります。
相手が納得しなくても、自分の選択が間違いとは限らない
自分で考えて選んだことを伝えても、
相手が納得してくれないことがあります。
心配されたり、
残念そうな顔をされたり、
反対されたりすることもあるかもしれません。
その反応を見ると、
「やっぱり私の選択は間違っているのではないか」
と不安になることがあります。
しかし、相手が納得しないことと、
自分の選択が間違っていることは同じではありません。
相手には相手の価値観や心配があります。
自分には自分の気持ちや、
大切にしたいことがあります。
違う考えを持っているからといって、
どちらか一方が間違っているとは限りません。
相手の気持ちは、相手のもの。
自分の選択は、自分が考えて決めるもの。
この二つを分けて考えることも、
自分軸を育てるために大切です。
もちろん、自分の選択によって
相手に影響がある場合は、
話し合いや調整が必要になることもあります。
それでも、相手を大切にすることと、
自分の気持ちをなかったことにすることは違います。
相手の考えも聞きながら、
自分が大切にしたいことも同じ場所に置き、
できる選択を一緒に探していくことができます。
自分で選んだことの中にある力を認める
自分で選択した後も、
「本当にこれでよかったのかな」
「別の選択の方がよかったかもしれない」
と迷うことがあります。
自分軸を育てるためには、
選択の結果だけで自分を評価しないことも大切です。
例えば、
「人の意見をそのまま答えにせず、自分の気持ちも確かめた」
「すぐに返事をせず、一度考える時間を取った」
「怖さがあっても、自分で選ぶことができた」
「相手の意見の中から、必要な部分を取り入れた」
「自分と相手の両方を大切にできる方法を考えた」
と、自分がしたことや、
その中で使った力を認めてみます。
選んだ結果が、思いどおりにならないこともあります。
しかし、結果が思いどおりにならなかったからといって、
自分で考えたことや、選んだことまで
無意味になるわけではありません。
選択した後に振り返り、
「今回分かったことは何だろう」
「自分ができたことは何だろう」
「次に似た場面が来たら、どうしたいだろう」
と考えることで、
次の選択に生かすことができます。
この積み重ねが、
「私は、自分で考えて選ぶことができる」
「迷っても、もう一度自分へ戻ることができる」
という、自分への信頼につながっていきます。
自分軸は、日々の小さな選択から育っていく
自分軸は、ある日突然、
完成するものではありません。
日常の小さな場面で、
「私は、どう感じている?」
「本当は、どうしたい?」
「私は、何を大切にしたい?」
「今の私が納得できる選択は何だろう?」
と問いかけながら、少しずつ育てていくものです。
最初は、相手の意見を聞いた後で
自分の気持ちに気づくだけでも構いません。
いつもどおり相手に合わせた後で、
「本当は、私は違うことを望んでいたんだね」
と分かることも、大切な一歩です。
気づけるようになると、
次に似た場面が来た時に、
すぐに答えを出さずに立ち止まれるようになります。
立ち止まれるようになると、
相手の考えと自分の考えを分けて
見られるようになります。
そして少しずつ、
自分の納得できる選択を考えられるようになります。
自分軸とは、誰の言葉にも揺れないことではありません。
人の意見を聞いて迷った時にも、
自分の気持ちや大切にしたいことを確かめ、
自分の納得できる場所へ戻ってくることです。
揺れるたびに自分へ戻り、
小さな選択を重ねていく。
その積み重ねによって、
「私は、自分で考え、選ぶことができる」
という、自分への信頼が育っていきます。
<p class="aloha-article-cta-note">
何を話せばいいか分からなくても大丈夫です。
</p>
TRIAL SESSION
自分の納得へ戻る道を一緒に整理しませんか
人と比べると、自分に自信がなくなる。
自分の気持ちを考えても、よく分からない。
本当は違うと思っていても、
周りに合わせてしまう。
自分なりに考えて決めたことも、
誰かの意見を聞くと不安になり、
「私の考えは間違っているのかもしれない」と
分からなくなることがあります。
個別セッションでは、
今、何に心が揺れているのか、
本当はどのように感じているのか、
何を大切にして選びたいのかを、
一緒に整理します。
誰の意見にも揺れない自分になるためではありません。
揺れた時にも、自分の気持ちへ戻り、
自分の納得で選べるようになるための時間です。
[第4回|自分の価値観がわからない人へ|大切にしたいことを見つける5つの問い]

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人と比べて自信がなくなった時や、
自分の本音が分からなくなった時、
周りに合わせてしまう時には、
一つ前の段階から自分の心を整理することもできます。
[第1回|人が羨ましくて苦しくなる時|比較で揺れる心から、本音を知る方法]


