「子どものためを思って言ったのに、嫌そうな顔をされた」
「そんなつもりで言ったわけじゃないのに、話してくれなくなった」
親子でこんなすれ違いが続くと、何を言えばよいのか分からなくなりますよね。親が大切にしてきたことを伝えたつもりでも、子どもには違う意味で届いているのかもしれません。
この記事では、親子の会話に影響する「当たり前」の違いを見つめ、今の子どもに届く関わり方を考えます。
親子の会話がすれ違うとき、何が起きている?
たとえば、子どもが学校でつらいことがあったと話したとき、親が「そのくらい我慢しなさい」と返す。親は「少しずつ乗り越える力をつけてほしい」と思っているかもしれません。でも子どもには、「つらい氣持ちを分かってもらえなかった」と感じられることがあります。
同じ言葉でも、伝えたかったことと、受け取られたことが違う。親子のすれ違いは、そんなところから生まれることがあります。
親の考えが間違っているわけでも、子どもがわがままなわけでもありません。まずは、二人がその場面をどう見ていたかを確かめることが大切です。
親の「当たり前」は、どこから来たのだろう
「頑張るのが当たり前」「人に迷惑をかけてはいけない」「弱音を言わずにやり抜く」。こうした言葉を大切にして育ってきた人もいるでしょう。親自身が、そうすることで困難を乗り越えてきたのかもしれません。
だからこそ、子どもにも同じ言葉を届けたくなる。それは、子どもを思う氣持ちから出ている場合があります。
一方で、自分を支えてくれた言葉が、今の子どもにも同じように役立つとは限りません。「人に迷惑をかけないように」と伝えたいとき、本当に伝えたいのは周りへの思いやりかもしれません。それなら、「困ったときは人に頼っていい。助けてもらったら、お礼を伝えよう」と言った方が、親の願いが届きやすい場面もあります。
これまで大切にしてきた価値観を捨てる必要はありません。その中にある願いを、今の子どもに伝わる言葉へ整えていくことができます。
子どもの反応が気になったときの、三つの問い
子どもに強く言い返されたり、黙り込まれたりすると、親も傷つきます。その場ですぐに落ち着いて対応できなくても大丈夫。あとから、次のことを振り返ってみてください。
- 私は何を伝えたかった? 守りたかったこと、身につけてほしかったことは何でしょう。
- 子どもにはどう聞こえたのだろう? 決めつけずに、表情や言葉を思い出してみます。
- 今のこの子には、どんな言葉や支えが必要? 助言を求めているのか、まず話を聞いてほしいのかを確かめます。
たとえば、「ちゃんとしなさい」と言ったあとに子どもが黙ったなら、「さっきは何をすればいいか分かりにくかったね。どこで困っている?」と聞き直すこともできます。
もちろん、安全や家庭で必要な約束は、親が具体的に伝えてよいことです。そのうえで、子どもの考えも聞きながら、どうするかを一緒に考えていきましょう。
言いすぎたあとからでも、関係は整え直せる
「また同じことを言ってしまった」と氣づいたときは、自分を責め続けるよりも、その場面で自分に何が起きていたのかを見てみます。「子どもが困るのを見たくなくて、焦っていたのかもしれない」。そう分かると、次の言葉を選びやすくなります。
子どもにも、こんなふうに伝えられます。
「心配で、あなたの話を聞く前に言ってしまったね。さっきのこと、どう感じた?」
すぐに答えが返ってこなくても、無理に聞き出さなくて大丈夫です。話せる余地を残し、また別の機会に向き合うこともできます。
親子の関係は、一度の会話で決まるものではありません。親が大切にしたいことと、子どもが今感じていることの両方を確かめながら、関わり方を選び直していけます。
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