「本当は、どうしたいですか?」
そう聞かれても、すぐには答えられないことがあります。
考えているつもりなのに、何も浮かばない。やりたいことより、できない理由が先に出てくる。自分で決めようとすると、「これで合っているのかな」と不安になる。
周りの人の希望なら分かるのに、自分のことになると分からない。
そんな自分に対して、
「自分のことなのに、どうして分からないのだろう」
「私には意志がないのかもしれない」
と、責めてしまう方もいます。
けれど、「本当はどうしたい?」が分からないのは、あなたの中に本音や望みがないからではありません。
これまで周りに合わせることを優先する中で、自分の気持ちを確かめる機会が少なくなっていただけかもしれません。
周りのことは分かるのに、自分のことが分からない
人の表情や声の調子から、
「今、機嫌が悪そう」
「これを言ったら困らせるかもしれない」
「私が引き受けた方がうまくいきそう」
と、相手の状態をすぐに察することがあります。
これは、人への関心があり、周囲をよく見てきたからこそ身についた力でもあります。
ところが、外側へ意識を向ける時間が長くなると、自分へ意識を戻す機会が少なくなります。
- 私は今、何を感じている?
- 本当は何が嫌だった?
- 何をしてほしかった?
- 私はどちらを選びたい?
その結果、周りの希望や一般的な正解は分かっても、自分の気持ちだけが見えにくくなることがあります。
「本当はどうしたい?」が分からなくなる5つの理由
1.周りの期待を優先してきた
子どもの頃から、
- 親を困らせないようにする
- 期待に応える
- 家庭の空気を悪くしない
- 困っている人がいたら自分が動く
- 自分より家族の都合を優先する
ということを続けてきた場合があります。
それは、家族や周りの人とうまく関わるために必要だったのかもしれません。
ただ、自分の希望を考える前に「相手はどう思うだろう」と考えることが習慣になると、自分の望みが見えにくくなります。
2.自分の気持ちより「正解」を探している
「どちらが正しいのだろう」
「失敗しない選択はどれだろう」
「みんなならどうするだろう」
このように正解を探し続けると、自分がどう感じているかよりも、間違えないことが優先されます。
けれど、人生の選択には、誰にでも当てはまる正解がないこともあります。
自分の望みは、「正しいかどうか」だけではなく、
私は、どちらに心が動くのだろう
と確かめることで見えてくるものでもあります。
3.自分の感情を抑えてきた
「怒ってはいけない」
「悲しんでも仕方がない」
「これくらい我慢しないと」
「嫌だと言ったら、わがままになる」
そう考えて感情を抑えていると、自分が何を望んでいたのかも分かりにくくなります。
感情は、なくすべきものではありません。
怒りの奥には「大切にしてほしかった」という願いがあり、悲しみの奥には「本当はこうなってほしかった」という思いがあることもあります。
感情を丁寧に見ていくことは、本音に気づくための手がかりになります。
4.考えるための余裕がない
家族のこと、子どものこと、仕事、家事、人間関係。
毎日、目の前のことに対応し続けていると、自分の幸せについて考える余裕がなくなります。
「どうしたいか分からない」のではなく、疲れや緊張によって、自分の心の声を聞ける状態ではないこともあります。
そのようなときに、無理に答えを出す必要はありません。
まず休むことや、自分を安心させることが、本音に気づくための最初の一歩になる場合もあります。
5.望みを持つことが怖い
望みが分かると、選ばなければならない。行動すれば、失敗するかもしれない。自分の気持ちを伝えれば、誰かを失望させるかもしれない。
その怖さから、無意識に「分からないままでいる」こともあります。
分からない状態は苦しい一方で、選んで傷つくことから自分を守ってくれている場合もあるのです。
だから、自分を責めて無理に答えを出すのではなく、
分かることを止めている怖さがあるとしたら、何だろう
と、やさしく確かめることも大切です。
本音は、考えるだけでなく、動く中でも見えてくる

「本当の望みを明確にしてから、行動しなければならない」
そう思うと、正しい答えが出るまで動けなくなります。
けれど、最初から本音がすべて分かっているとは限りません。
今見えている方向へ小さく動いてみることで、
「思っていたより楽しかった」
「これは少し違う気がした」
「もっと知りたいと思った」
「本当に望んでいたのは、別のことだった」
と、新しい気持ちが見えてくることがあります。
本音は、頭の中だけで見つけるものではありません。
小さく試し、そこで感じた喜びや違和感を受け取る中で、少しずつ明確になっていくものでもあります。
試した結果、思い描いていたものと違っても、失敗ではありません。
その経験が、自分を知るための大切な情報になります。
「したいこと」より「続けたくないこと」から考えてもいい
「どうしたい?」と聞かれても分からないときは、問いを少し小さくしてみましょう。
- 今、何が一番しんどい?
- どんな状態は、もう続けたくない?
- 本当は何を少し減らしたい?
- どんな時間が増えたらうれしい?
- 誰といると、少し安心できる?
- 最近、心が動いたことは何だった?
- 何の制約もなければ、今日はどう過ごしたい?
大きな夢や人生の目的を、すぐに見つけなくても構いません。
「今日は少し休みたい」
「本当は手伝ってほしい」
「一人になる時間がほしい」
「この言い方は嫌だった」
そんな小さな気持ちも、自分の本音につながっています。
自分に戻るための小さな練習
何かを頼まれたときや、すぐに返事を求められたときに、反射的に答える前に一度立ち止まってみます。
そして、自分に問いかけます。
私は今、どう感じている?
本当は、どうしたい?
何を大切にしたい?
なりたい私なら、今どんな選択をするだろう?
すぐに答えが出なくても大丈夫です。
「今は分からない」と気づけたことも、自分へ意識を戻した大切な一歩です。
必要であれば、
「少し考えてから返事します」
「今すぐには決められないので、後で伝えます」
と、考える時間をつくることもできます。
一度で答えを出さなくていい
長い間、自分より周りを優先してきた人が、急に自分の望みを明確にするのは簡単ではありません。
大切なのは、立派な答えを見つけることではなく、日常の中で少しずつ自分へ戻ることです。
- 自分の感情に気づく
- 小さな望みを言葉にする
- 今できることを一つ試す
- そこで感じたことを振り返る
この繰り返しによって、
「私はこれが好き」
「これは大切にしたい」
「この関わり方は続けたくない」
「これからは、こう生きてみたい」
という自分の輪郭が、少しずつ見えてきます。
「分からない」は、自分との関係を取り戻す始まり
「本当はどうしたい?」が分からないのは、本音がないからではありません。
これまで周りへ向け続けてきた意識を、自分へ戻す時間が必要なのかもしれません。
最初から正しい答えを出さなくても大丈夫です。
今の気持ちを確かめ、できることを小さく試し、そこで感じたことを受け取る。
その積み重ねによって、自分が大切にしたいことや、望む関係、これから生きたい人生が少しずつ見えてきます。
これからの自分は、今ここから育てていけます。
TRIAL SESSION
「本当はどうしたい?」が
分からないときも、
今の気持ちから一緒に整理しませんか?
自分の気持ちを考えているつもりなのに、同じ考えの中を行き来したり、周りの意見を考えるほど分からなくなったりすることがあります。
それは、あなたに本音がないからでも、意志が弱いからでもありません。
周りを優先してきた役割や、「間違えてはいけない」「人を困らせてはいけない」という思いが、自分の気持ちを見えにくくしていることもあります。
体験セッションでは、今抱えている悩みや人間関係を一つ取り上げ、日常の具体的な場面を振り返ります。
自分の中で何が起きているのか。
どんなことに心が揺れているのか。
本当はどんな関係や状態を望んでいるのか。
対話を重ねながら、心の中にあるものを少しずつ一緒に整理していきます。
一度ですべての答えを出したり、無理に「やりたいこと」を見つけたりするための時間ではありません。
今分かることから、
これから大切にしたい方向と、
今の自分にできる小さな一歩を
一緒に確かめていきましょう。
すぐに答えが出なくても大丈夫です。
自分の気持ちに気づき、
「私はどうしたい?」と確かめられる
心の土台を育てていきましょう。

