「本当は嫌だった」「私はこうしたい」
そう思っても、パートナーに伝えた後のことを考えると、言葉を飲み込んでしまうことはありませんか。
不機嫌になられたらどうしよう。黙り込まれたり、冷たい態度が続いたりするくらいなら、私が合わせておこう。関係をよくしたいからこそ、そう選んできた方もいると思います。
けれど、合わせ続けることだけが、関係を大切にする方法なのでしょうか。
この記事では、本音を言えなくする心のブレーキと、その奥にある考えを見つめながら、自分も相手も大切にする関わり方を考えていきます。
本音を言おうとすると、心にブレーキがかかる理由
相手が不機嫌になるのが怖い
「今日は難しい」「私は別のほうがいい」
そう言いたくても、相手の表情を見て、言うのをやめてしまうことがあります。
怖いのは、怒られる瞬間だけではないかもしれません。その後に会話がなくなったり、冷たい態度が続いたりすることも、つらいものです。
以前、本音を伝えたときにそうした経験があるなら、「また同じことになるかも」と心にブレーキがかかるのも無理はありません。
「言わないほうが、穏やかに過ごせる」。そんなふうに感じて、本音を飲み込んできたのかもしれません。
「私が合わせたほうがうまくいく」という前提
心のブレーキの奥には、こんな前提があるかもしれません。
私が本音を言うより、相手に合わせたほうが関係はうまくいく。
ここでいう「前提」とは、繰り返し確かめなくても、「そういうものだ」と思っている考えのことです。
こうした前提は、育つ中で経験した人間関係から身につく場合があります。
家庭で親の機嫌を見ていたこと。学校で意見を言いにくかったこと。部活や習い事で、周囲に合わせると穏やかに過ごせたこと。
そうした経験の中で、合わせることが、自分を守ったり、その場を乗り切ったりする方法になった人もいるでしょう。
自分を守ってきた前提は、今の関係にも合っている?
子どもの頃、「子どもは親の言うことをきくもの」と教わった人もいるかもしれません。意見を言うと叱られたり、親が不機嫌になったりする環境では、親に合わせることが自分を守る方法になる場合があります。
家庭以外でも、周囲と違う意見を出しにくい場所では、「自分の氣持ちは出さないほうがいい」と感じることがあるでしょう。
子どもの頃から人の顔色を見て、自分より相手の氣持ちを優先してきた方は、「アダルトチルドレン」や「ケアテイカー」という言葉に心当たりがあるかもしれません。
ここでその名前を挙げるのは、誰かにレッテルを貼るためではありません。**「自分にも、そうしてきた理由があったのかもしれない」**と、これまでの関わり方を理解する手がかりにするためです。
「相手に合わせたほうがうまくいく」は、かつての自分にとって役立つ前提だったのかもしれません。では、今のパートナーとの関係でも、いつも自分の氣持ちを飲み込むことが、望む関係につながっているでしょうか。
私自身も以前は、相手に合わせることが関係を大切にすることだと思っていました。興味のない相手の趣味にもついていきましたが、正直なところ、私は楽しめていませんでした。その氣持ちは相手にも伝わっていたようです。
自分の本音を抑えたまま付き合い続け、最後には相手から「自分がない」と言われて、関係が終わりました。相手に合わせていたのに、望んでいた関係にはならなかったのです。
その後、心理学やコミュニケーションを学び、自分の氣持ちを言葉にすることを実践してきました。今はパートナーと、自分の氣持ちを安心して話せる関係を築いています。
ただし、今の言いにくさを、過去の経験だけで説明することはできません。現在のパートナーの態度そのものが怖いという場合もあります。その怖さまで「自分の前提のせい」と考える必要はありません。
「合わせたほうがうまくいく」を、今の関係に合う前提へ
相手に合わせることも、協力し合うための大切な選択肢です。何でも思ったままに言えばよいわけではありません。
でも、怖くて本音を飲み込むことしか選べなくなっているなら、その前提が今の自分と関係に合っているか、確かめてみてもよいのではないでしょうか。
自分の氣持ちを隠していると、パートナーは、あなたが何を感じ、何を望んでいるのかを知ることができません。反対に、相手の考えを聞かなければ、自分にも分からないことがあります。
これからの関係では、こんな前提も持ってみませんか。
意見が違っても、自分の氣持ちと相手の氣持ちを大切にしながら、話し合っていい。
本音を伝えることは、相手を否定したり、自分に合わせさせたりすることではありません。互いを知り、二人にとって納得できる関わり方を探すための一歩です。
以前の前提を無理に捨てる必要はありません。今の自分と関係に合っているかを確かめ、必要なら少しずつ更新していけます。
新しい前提を、日々の関わり方にしていく
「意見が違っても話し合っていい」と思えても、長く相手に合わせてきた人が、すぐに本音を話せるとは限りません。
まずは、意見が違うときに、**「私にも希望がある」**と心の中で認めることから始めていいのです。
対等な関係では、自分も相手も置き去りにしません。互いを大切にし、必要なことを言葉で伝え、相手の感情まで一人で背負わずに支え合う。その3つを、これからの関わり方の目安にしてみてください。
※ここに「自分も相手も置き去りにしない」の画像を配置
パートナーを大切にしたいという思いの中に、自分自身も含めていいのです。
伝える前に、「本当はどうしたい?」と自分に聞いてみる
相手の反応を考え続けていると、自分の希望が見えなくなることがあります。
すぐに伝えようとせず、まずは「私は本当はどう感じた?」「どうしてほしかった?」と自分に聞いてみてください。紙に書くだけでもかまいません。
例えば、予定を急に変えられて腹が立ったとき。本当は「変更があるなら、早めに知らせてほしい」のかもしれません。
自分の希望が分かると、伝える言葉も選びやすくなります。
自分の氣持ちを、短い言葉で伝えてみる
以前、本音を伝えたときにパートナーが不機嫌になり、「やっぱり言わなければよかった」と感じた方もいるでしょう。
もしかすると、相手には責められたように聞こえた部分があったのかもしれません。ただ、相手が不機嫌になった理由を、すべて自分の言い方のせいにする必要もありません。
伝え方の一つとして使えるのが、「私は」を主語にして話すアイメッセージです。相手の行動を評価する代わりに、自分の氣持ちと希望を言葉にします。
例えば、予定を急に変えられて困ったなら、
「急に予定が変わると、私は準備が間に合わなくて困るんだ。変更が分かった時点で教えてもらえると助かる」
と伝えることができます。
伝え方を変えることで、相手が受け取りやすくなる場合はあります。ただし、相手が必ず不機嫌にならないという意味ではありません。話せる状態かを見て、いつ伝えるかも選んでいいのです。
伝えた後、パートナーが不機嫌になったら
丁寧に伝えても、相手が不機嫌になることはあります。そのときは、相手と自分の状態に合わせて、関わり方を選んでかまいません。
- 相手が話を聞けそうなら
「あなたはどう感じた?」と、相手の考えも聞いてみる。 - 感情が高ぶり、話がかみ合わないなら
「落ち着いてから話したい」と伝え、いったん会話を区切る。 - 相手が一人になりたそうなら
話す余地を残しつつ、機嫌を直そうとして追いかけ続けない。 - 自分もつらくなっているなら
自分の氣持ちを落ち着ける時間を取る。
相手を氣にかけることと、相手の不機嫌を解消する責任を一人で負うことは違います。
また、怒鳴る、脅す、無視が続くなど、安心して話せない状況では、言い方を工夫することだけで何とかしようとしなくて大丈夫です。自分の安全を優先し、信頼できる人や相談先を頼ってください。
自分も相手も、大切にするために
関係を整えるのは、
一人の仕事ではありません
これまで相手に合わせてきたのには、理由があったのだと思います。その自分を責める必要はありません。
今の自分には、合わせる以外にも選択肢があります。本音を確かめる。話せるときを選ぶ。自分の氣持ちを言葉にする。話し合えないときは、時間を置く。
かつて自分を守るために役立った前提が、今は苦しさにつながっているなら、今の関係に合う形へ少しずつ更新していけます。
「自分の本音が分からない」「伝えようとすると、どうしても怖くなる」。そんなときは、一人で答えを出そうとせず、今の氣持ちや関係の中で起きていることを、安心できる場所で整理してみませんか。
Aloha Communication Labの体験セッションでは、自分の氣持ちを置き去りにせず、これからどんな関わり方を選びたいかを一緒に考えていきます。
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